手と腕の感覚を養う

自分で自分の腕をつかむ独り稽古

独り稽古は地味なものですが、これはその中でも一番地味ですね。だからこそ、いつでもどこでも出来るのです。何かの待ち時間や、入浴中、寝る前などにもできるんじゃないでしょうか。そんな地味な稽古方法を3つご紹介します。

1. 強くてしなやかな輪をつくる

技の始まりに転換をする際、両手で輪っか作るような形を作りますが、この形を整える稽古です。まず輪の半円の形を片手で作ります。力んでしまって腕が硬くなっていては良くありません。が、逆にふにゃふにゃでも良くありません。背中から指先(小指か人差し指)に一本の筋だけすっと伸びて通っていて、他は脱力している感じが良いと思います。背中は肩甲骨を下側から少し寄せて、肩は落として、脇は開きすぎないように、肘は上がらないよう少し内側に。

形になったかなと思ったら反対の手で、腕を触って、力んで腕の筋肉が硬くなっていないかチェックします。また、掴んだ手で腕を内旋したり外旋したりしながら、力を抜いたり入れたりして、よりしなやかで強さのある状態にならないか探ってみます。

2. つかむ・接触感覚を養う

修徳館ではしっかり「掴む」ということはあまりしません。相手に嫌な感じを伝えないように、しっとりねっとり優しく、しかし吸い付くように接触します。

ピンッと指先まで伸ばして手を開き、もう一方の腕に当てます。開いた手の力を抜くと手は自然に収縮してある程度閉じてくると思いますが、この時の収縮を使って当てている腕に手をピトっと隙間なくくっつけていきます。そうすると、掴む力はほぼ使わずに腕の皮だけ動かせるような、手と接触した腕が繋がったような状態になるかと思います。

この状態で相手にぱっと接触できれば良いのではないかと思いますので、繰り返し色んな触り方で手と腕を接触させる稽古を行います。
また、逆に指先に力を入れたり捻ったりすると相手に嫌な感じが伝わってしまう感覚も試してみるのも良いと思います。

3. 極め技の形で力の流れを感じる

稽古始めの手首のストレッチでも行うような形で、自分で自分に対して極め技をかけていきます。二教・三教・四教・小手返しなどがやりやすいと思います。

手首関節を極めるのではなく、手首・肘・肩・背中まで順に力が伝わることを確認していきます。手首を持つだけでなく色んなところを持って、色んな方向に力をかけて、どのように力が伝わっていくかを確認するとおもしろいと思います。

全部いっしょに

これら3つの稽古は慣れてくると全て同時に行えます。片腕は良い輪の状態を作って、それに良い接触で技をかけて力がしっかり体の中心まで届くか確認します。
始めは何が良くて何が良くないかも判別しにくいと思いますが、やっている内に、「なんかいい感じかも」と思えるようになってくると思います。また、道場で上手な方に同じようにしてもらい自分との違いを感じるのも良いかもしれません。

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